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英エコノミスト(The Economist)の最新記事を日本語で紹介しつつ、日々の気づきを徒然につづります

グーグルの中年の危機(2020年8月1日)

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How to cope with middle age
Google has outgrown its corporate culture
It is time to learn from its elders

自らのカルチャーの転換点に立つグーグル:先達に学ぶ時が来た

 


The Economist August 1, 2020: Leaders: Google's mid-life crisis

 

<全文和訳>

グーグルはまだ21歳だが、中年の危機の真っただ中にある。このようなケースではよくあることだが、表面上はすべてがうまくいっているように見える。毎日、グーグルの検索エンジンは60億件を処理し、YouTubeには49年分の動画アップロードがあり、Gmailは約1,000億件の電子メールを送受信している。オンライン広告での圧倒的な優位性のおかげで、グーグルの親会社であるアルファベットの昨年の利益は340億ドルに上った。グーグルは中核事業の他にも、人工知能(AI)、量子コンピューティング、自動運転車両の世界的リーダーである。アマゾン、アップル、フェイスブックのトップらと共に、グーグル最高経営責任者であるサンダー・ピチャイ氏は今週、米国議会に召喚され証言する。巨額の利益を上げている米国のハイテク大手を規制すべきだとの危惧がその背景にある。しかしいったい、何が危機なのか?

議会で証言を求められること自体が、そもそも成功の証である。しかし、このことはグーグルの幹部が直面しているやっかいな問題をも浮き彫りにする:つまりグーグルの中年期が始まったということだ。これはビジネスそのものと同様に古くからある問題である。企業は、仮に永続することを前提とした企業文化と体制を築き上げたとしても、どうすればその成功の土台となった創造性と敏捷性を維持できるのだろうか?グーグルの場合、この中年期への移行は特に注目される。なぜなら創業者であるラリー・ペイジセルゲイ・ブリンは初めから、その移行の時が来ることのない会社を作ろうとしていたからだ。2004年にグーグルが株式公開の準備をしていたとき、彼らは、グーグルは従来の会社ではないし「そのような会社になるつもりもない」と宣言した。遊び場のようなオフィス、手厚い福利厚生、本社拠点の雰囲気が、成長しても新興企業のような機敏さと革新性を維持することを望んでいたのである。企業の額にしわが寄るのは失敗を認めるのと同じことであった。

グーグルの老いの兆しは、ビジネスの成熟化、カルチャーの変化、複雑さを増す政府との関係に顕著に表れている。まずビジネス面を考えよう。グーグルは、検索とオンライン広告ツールの分野でほぼ市場を独占しており、成長の頭打ちに直面している。検索広告の市場シェアは約90%に上り、他の金鉱の発掘は困難なことが明らかになりつつある。配達用ドローンやロボットなど、アルファベットが数十億ドルを投じてきた野心的な「ムーンショット」プロジェクトは、いずれも画期的な成功を収めているとはいえない。成長を続けるために、グーグルはクラウドコンピューティングや企業向けのソフトウェアやサービスなど、ライバルの大手テクノロジー企業が占有している分野に進出せざるを得ない。

カルチャーの問題はそれよりも曖昧ではあるが、企業の性質が普通とは異なることを謳うグーグルにとっては同じく早急に取り組むべき課題である。創業初期に成功を収めた自由奔放な倫理観は、今では負債となっている。企業の規模が大きくなった今、その価値観はもはや機能しないことが多い。グーグルは現在、12万人近くの社員を抱え、また一時的な契約社員の数はそれよりも多い。人数が増え、似た考えをする人が減り、ジェンダー間の政治的な争いからカフェテリアでの肉の提供方法、警察に対する技術販売にいたるまであらゆることに論議が噴出する中で、ボトムアップで物事を進めることは難しくなっている。

グーグルの老いの第3の兆候であるトラストバスターズ(独禁法取締官)からの追跡は、長い間避けられないものとされてきた。テクノロジー大手は成長するにつれ、ロビー活動、顧客、規制当局といった観点で政府との関わりも拡大している。米国司法省はグーグルのオンライン広告事業を精査しており、近く独占禁止法違反の訴訟を起こす可能性もある。巨大テクノロジー企業が本業の枠を超えてビジネスを拡大する中で、規制当局の監視が緩むことは考えにくい。実際、規制当局はそれを力の拡大の兆しとみなすだろう。

グーグルはどのように対応すべきだろうか?成熟していながら革新的であることは難しい。歴史を振り返れば失敗の例には事欠かない。それでもグーグルがこの難題に取り組むのなら、まずは軸足を定めなければならない。それは経営者か、投資家か、それともギークか?

最初の軸は、より厳格な経営を行うコングロマリットになることだが、そこには経営の落とし穴もある。このアプローチの原型は、ジャック・ウェルチの下で全盛期を迎えたGEである。ウェルチは、ビジネスのすそ野を広げることは、それぞれを専門家が経営する限り成功につながると株主を説得した。しかし、後になってGEは、金融部門であるGEキャピタルを他部門の実態の隠れみのにしていたことがわかった。その後のGEの苦境は、大きく成功している一部門に依存して低収益の他部門を支えることの危険性をあらわにしている。グーグルは広告事業で同じことを行っている。

コングロマリット・モデルの追求が答えでなければ、真逆のアプローチはどうだろう。すなわち、スピンオフを行って事業の一部を売却または閉鎖し、株主に還元することだ。このやり方は多くの投資家が歓迎するだろう。しかしいくつかの試算によると、分割した事業を足し上げるとアルファベットの価値は1,000億ドル減少する。YouTubeをスピンオフするとインターネット広告での競争は増加し、規制当局は歓迎し、成長の制限も外れるだろう。YouTubeのコンテンツのほとんどはユーザーが作成したもので無料であることから、YouTubeの価値はNetflixより高いかもしれない。しかし、AT&TIBMの例からわかるように、小型化はイノベーションを空洞化させる危険性をはらむ。そして、ダウンサイジングによって独自のカルチャーを保持することを狙い、ピーターパンのように若々しく自由奔放であることを願っても、現実にはグーグルはもはやスタートアップではない。

そうなると、ギークの軸で行くしかない。華麗なベンチャーキャピタルになることは魅力的だ。しかし、ソフトバンクのビジョンファンドの苦境は自信過剰になることの危険を警告している。グーグルは、2つの先輩テクノロジー大手がどのようにしてそれぞれの中年期の危機(さらに言えば瀕死の危機)を乗り越えたのかを研究してみるといいだろう。つまり独禁法規制当局によってほぼ分割されたマイクロソフトと、スティーブ・ジョブズによってポータブル機器メーカーとして生まれ変わる前に何年も苦境にあったアップルの2社だ。両社とも、自らの中核となる目的を再定義し、それを新たなアプローチで実現することで再起した。サティア・ナデラ氏の下で、マイクロソフトWindowsオペレーティングシステムではなくクラウドベースのソフトウェアツールやサービスを提供する企業に生まれ変わった。そして、エレガントで使いやすいコンピューターで知られていたアップルは、その天才的な技術をスマートフォンに応用して再び成功を収めている。

グーグルもこれに倣って、自らが最も得意とする分野を定め、それを新しい分野に応用することができるだろうか?それは、消費者が個人データを商品やサービスと交換できるようにすることや、AIを使って世界的な問題を解決することや、ネット上のシステムのデータ処理を実施することなのかもしれない。グーグルは今のところ、ほとんどすべてのことに手を出している。手当たり次第の取り組みが思いがけないイノベーションにつながることもあるが、実際は活力を奪われてしまうことのほうが多い。グーグルがこれからとるべき最善の行動は、中年の危機にある人々への典型的なアドバイスに従うことである:物事を整理して、自分にとって大事なことを決め、その夢を追え。

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Weekly edition:表紙づくりのウラ話(2020年7月25日号)

The Economistの定期購読者限定で、毎週初めに、最新号の表紙デザインをどう決めたか?という編集部ウラ話がメールで送られてきます。このストーリーを読むと、その週のThe Economistの主張が見事に表紙デザインに反映されていることがわかります。毎週、読みごたえのある大量の記事を発信するだけでなく、主張を端的に反映した表紙イラストも見どころのThe Economist☆今週号の表紙も、へえっと驚く仕掛けが満載です。

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今週はこの表紙デザインの編集部ウラ話!

今週の表紙は、何十年かに一度の経済の新時代の幕開けについてです。新型コロナウィルスの世界的大流行の結果、各国政府は未曾有の大規模なレベルで借り入れ、通貨発行、資本市場への介入を実施しています。低インフレが持続する中、こうした政策は長く続く可能性があります。経済は新しい時代を迎えるたびに新しい課題に直面してきました。1930年代以降しばらくは恐慌を防ぐことであり、1970年代と1980年代初頭はスタグフレーションを終わらせることでした。今日の政策立案者に課せられた課題は、景気循環を管理し、政治に経済を乗っ取られることなく金融危機に対処するための枠組みを作ることです。


今回の表紙デザインの難題は、この非常にテクニカルなテーマをいかに正しい方向で分かりやすく伝えるかということでした。根底にある経済上の問題は恒久的な低金利です。今のところ金利がゼロを大きく下回ることは不可能です。もしそうなれば、人々は銀行預金を引き出してタンス預金にするでしょう。ですが「マクロ経済理論」や「ゼロ金利下限(zero-lower bound;ZLB)」といった用語には当誌すら不快感を覚えます。

 

こうした状況では、あまり固く考えないほうがうまくいきます。それを反映したのがこれらのスケッチです。

 

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左のスケッチは、コロナウイルス型の水しぶきを残して空に突っ込むダイバーを描いています。ダイバーの頭上で穏やかに泳ぐ魚はなかなかウィットに富んでいます。右のほうは、バズライトイヤー風の人物が下を指さし、まさにマイナスの領域へ踏み込もうとしています。

 

どちらも面白い構図でしたが、その意味を理解するには記事を読む必要があります。マイナス金利がなぜ重大な意味を持つのか、いやそれ以前に、そもそもマイナス金利に関する当誌の見解を知っている読者はとても少ないでしょう。

 

そこで、もっと広く読者に訴えるアイデアを練りました。

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 狙いは、過去との決別を表現することでした。それに合わせて「フリーマネーの新世界へ踏み込む(A brave new world of free money)」というタイトルを入れました。さっきのバズライトイヤーがここでも登場し、大気圏に舞い上がる紙幣を拾っています。ベルトコンベアはドル紙幣の海へ次々と紙幣を注いでいます。

 

編集部はこの2つのアイデアを展開することにしました。まずはタイトルの調整。字数が多すぎたので「新世界へ踏み込む」は削除しました。「フリーマネー」だけでもインパクトは十分でした。いえ十分どころかインパクトがありすぎて、ローンを組んだ人が返済不要だと誤解しかねません。そこでサブタイトルを加えてインパクトを調整しました。

 

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 このスケッチではバズライトイヤーは消え、米国とヨーロッパは紙幣デザインで表現されています。世界を描いているので、世界という言葉を入れる必要もありません。いったんはこのデザインでいけると思ったのですが、面白味に欠ける点がネックでした。イルカと南国の島が醸し出す陽気さが、雑誌の表紙というよりも、空港で見かける広告のように思えました。

 

そこでベルトコンベアのアイデアに戻りました。こんなビジュアルソースも見つけました。

 

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私たちは、世界をドル漬けにするマシンのイメージをアーティストに伝え、ドラフトを作成してもらいました。

 

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 このドラフトがいい線を行っていました。ヒース・ロビンソン風のドル印刷工場、モンティ・パイソン的な質感、オレンジ色の空を背景に浮き上がるタイトルの文字。そして「フリーマネー」が思い切った表現であることを告げるサブタイトルへとつながる構図になっていました。

 

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 このドラフトは、ベルトコンベアの部分をトランペットに置き換えたものです。こちらのほうが気に入り、さらに最終的にはルーブル・ゴールドバーグの機械仕掛けをもじってトランペットをフレンチホルンに置き換えました。ドル工場と楽器の組み合わせはアイデア全体をさらに荒唐無稽に近づけているかもしれません。でも、そこには重要なロジックが一つ隠されています:ドル工場も楽器もnotes(紙幣/音)を出しますからね。

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いかがでしたか?次回もぜひお楽しみに。

 

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世界経済は新時代に突入した(2020年7月25日)

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Macroeconomics
Governments must beware the lure of free money

フリーマネーの誘惑
世界経済は新時代に突入した

 


The Economist July 24, 2020: Leaders: Free economy

 

<全文和訳>

2007-09年の世界的な金融危機の後、各国政府は経済政策の再考を怠り、この金融危機の教訓を無駄にしたと言われることがある。しかし新型コロナウイルスパンデミックについて同じことを言う人はいないだろう。今回の事態は甚大な影響を及ぼし、ほんの数ヶ月前には想像もつかなかった、あるいはまったく異色の政策が実行されている。その結果、何十年かに一度の大変化が今、経済の世界でも起こりつつある。1970年代にケインズ主義がミルトン・フリードマンの緊縮的なマネタリズムに取って代わられたように、また1990年代に中央銀行が独立性を与えられたように、今回のパンデミックは新たな時代の始まりを告げるものである。その最優先課題は、新たな機会を開拓する一方で、経済と金融市場への超大型の国家介入に起因する巨大なリスクを抑制することだ。

この新しい時代には4つの特徴がある。第1は驚異的な額に上る政府借入であり、しかもそれがとどまるところを知らないように見えることである。IMFによると、富裕国は今年、経済を下支えするため4.2兆ドルの歳出・減税を行い、その資金調達のため各国のGDP合計額の17%にあたる額を借り入れると予測している。しかし、それで終わりではない。米国議会では別の歳出パッケージが議論されている。欧州連合はつい最近、共同債の発行による新たな景気刺激策に合意し、政治における大きな一線を越えた。

第2の特徴は紙幣発行である。米国、英国、ユーロ圏、日本の中央銀行は、2020年にすでに約3.7兆ドル相当の紙幣を発行している。その多くは政府借入に充てられており、中央銀行は暗黙のうちに景気刺激策に資金を供給していることになる。その結果、公的債務の発行が急増しても、長期金利は低水準を維持している。

第3の特徴は、国家が資本配分の主役としての役割を増大させていることだ。信用収縮を回避するため、連邦準備制度理事会FRB)は財務省とともに金融市場に介入し、AT&T、アップル、コカコーラなどの債券を買い上げ、また債券ディーラーから非営利の病院に至るまであらゆる組織に直接の貸し出しを行っている。今や、FRB財務省は米国全体の企業債券の11%を保有しており、他の富裕国の政府や中央銀行もこれに追随している。

最後の特徴は低インフレであり、これが最も重要なポイントである。物価上昇圧力がないことは、今すぐ中央銀行のバランスシート拡大を抑制したり、短期金利をゼロ付近の水準から引き上げる必要がないことを意味する。したがって低インフレこそが、公的債務を懸念せずに済む基本的な理由であり、金融緩和において公的サービスのコストはほとんどなく、マネーは無尽蔵、つまりフリーマネーのように見える。

パンデミックが収束し、失業率が下がれば、国家の役割はすんなり正常に戻ると甘く見てはいけない。もちろん、政府や中央銀行は歳出や救済措置を減らすだろう。しかし、経済の新時代とは長期的な傾向の集大成である。パンデミックの前から、雇用市場の活気にもかかわらずインフレ率と金利は低い水準にあった。今も債券市場は長期的なインフレを懸念する気配を見せていない。もしそれが正しければ、赤字と紙幣発行がこの先何十年も政策決定の常套手段となる可能性がある。一方で、金融市場における中央銀行の介入増大は、仲介者としての銀行の停滞と、革新的でハイリスクを求めるシャドーバンク(金融仲介業者)や資本市場の台頭を反映している。かつて商業銀行が市場を支配していた時代には、中央銀行は商業銀行にとって最後の貸し手として機能していた。ところが今や中央銀行は、巨大な「最後のマーケットメーカー」として、ウォール街などへの介入を余儀なくされている。

経済全体に対してこれまでずっと広く深く関与してきた国にとっては、いくつかの機会が生まれている。低金利を活用して国が借入を行い、研究所から電力網に至るまでインフラ整備を行えば、成長を後押しし、パンデミックや気候変動などの脅威に対応できる。社会が高齢化するにつれ、医療や年金への支出増加は避けられないが、その結果として生じる赤字が次の必要な経済対策につながっていく。

しかし、この新しい時代には重大なリスクも存在する。インフレ率が想定外に急上昇した場合、中央銀行政策金利を引き上げなければならず、債券購入に関する多額の利息支払いが発生し、負債の構造全体が揺らぐことになる。また、インフレ率が低水準にとどまったとしても、この新しい枠組みはロビイストや組合、利害関係者の動向の影響を受けやすい。

マネタリズムの重要な側面の一つは、拡大するマクロ経済の管理が、政治家による際限のないえこひいきにつながるということであった。すでに政治家たちは、どの企業が税制優遇措置を受け、どの労働者が仕事再開までの期間に国から給料をもらうのかを算段している。民間企業への融資の一部はこれからおそらく焦げ付き、政府はどの企業を見放すかを選択することになる。しかしマネーは無尽蔵にあるのだから、あらゆる企業を救済し、時代遅れの雇用を守り、投資家を救ってもいいのではないか?

しかし、そうした行為は短期的には経済を刺激するが、結局は市場をゆがませ、モラルハザードを引き起こし、低成長の原因となる。政治家の近視眼を恐れて、多くの国は独立した中央銀行に権限を委譲したのだ。そして中央銀行は、金利という単純かつ唯一のツールを駆使して景気循環のコントロールを行ってきた。しかし今日、限りなくゼロに近い金利は無力さを露呈し、独立しているはずの各国中央銀行のトップらは、むしろ政府の債務管理部門で働く使用人になりつつある。

経済は新しい時代を迎えるたびに新しい課題に直面している。1930年代以降の課題は恐慌を防ぐことであり、1970年代と1980年代初頭はスタグフレーションを終わらせることであった。今日、政策立案者に課せられた課題は、景気循環を管理し、政治に経済を乗っ取られることなく金融危機に対処するための枠組みを作ることである。今週号の当誌ブリーフィングセクションで述べているように、これには財政的な権力をテクノクラートに委ねることや、中央銀行による大幅なマイナス金利の実施を可能とする金融システムの改革、また消費者の間で起こっている従来型の銀行からフィンテックやデジタル決済への革命的な移行を活用することが含まれるかもしれない。これは大きなリスクを伴う挑戦である。もし失敗すれば、フリーマネーの時代はいずれ大きな代償を支払うことになるだろう。

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米国で感染が再び急拡大(2020年7月18日)

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Covid deaths v cases
America is in the midst of an extraordinary surge of covid-19

 

今回は、南部の州を中心に感染の急拡大に直面する米国からのレポートを共有します。

On the same weekend that Florida smashed the single-day state record for cases of covid-19—reporting over 15,000 in one day—Disney World, the gargantuan theme park in Orlando, opened its doors to masked revellers.

 

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グラフから読み取れるように、感染者数の急増に対して死亡者数は横ばいなのが唯一の救いなのですが、The Economistはその要因として4つを挙げています:

First, the substantial increase in testing means that more cases will be detected. Second, evidence suggests that younger adults are behind the latest surge in the virus. In Florida the median age of covid-19 patients has dropped from 65 to near 40. Third, there is usually a lag of several weeks between a patient contracting the illness and when the patient’s death is reported to state authorities. Fourth, doctors seem to have become better at treating severe cases of covid-19, reducing the death rate even for those who must be hospitalised.

 

第1に、検査数の大幅な増加により感染者の特定が増えていること。

第2に、最近の感染者数増加の中心は若年層であること(フロリダ州では、新型コロナウイルス感染者の年齢の中央値は65歳から40歳近くまで下がっている)。

第3に、新規感染後、州当局に死亡が報告されるまでには通常数週間のタイムラグがあること。

第4は、これまでの経験から入院が必要な重症患者の治療が改善し死亡率が低下していること。

 

若年層が感染拡大の中心であるのは日本も同じです。しかし、このような感染の急拡大を受けて、現在の死亡者数の横ばいは長くは続かないだろうとThe Economistは分析しています。

Given the rise in cases, however, it seems unlikely that the death rate will remain stagnant for much longer.

 

続きは、Noteに公開している全文和訳をご覧ください☆

note.com

 

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新型コロナウイルスとの闘いは続く(2020年7月4日)

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The way we live now
Covid-19 is here to stay. People will have to adapt

 

世界各地で新型コロナウイルス感染症の拡大が続いています。第2波の襲来か?との声も聞こえますが、The Economistは「世界はまだ第1波すら乗り越えていない」としています。

The world is not experiencing a second wave: it never got over the first.

 

一方でこれまでのウイルスとの闘いで見えてきたこともあります。

Here the news is better. Epidemiologists understand how to stop covid-19. You catch it indoors, in crowds, when people raise their voices. The poor are vulnerable, as are the elderly and those with other conditions. You can contain the virus with three tactics: changes in behaviour; testing, tracing and isolation; and, if they fail, lockdowns.

 

感染拡大の封じ込めは、一に行動変容(changes in behaviour)二に徹底的な検査と追跡・隔離(testing, tracing and isolation)、それでだめなら再び経済活動の制限(if they fail, lockdowns)。

 

でも経済活動を再び制限することの難しさは、昨今の日本のGo Toキャンペーンの迷走一つとっても明らかです。社会全体で長期戦をどう乗り越えていくのか、人間の知恵と努力が問われる日々は続きます。

 

この記事の全文和訳をNoteに掲載しています↓

note.com

 

 

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