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Weekly edition:表紙づくりのウラ話(2020年5月9日号)

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The Economistの定期購読者には、毎週初めに「Cover Story: How we chose this week's image(編集部は最新号の表紙デザインをどう決めたか)」というウラ話がメールで送られてきます↑↑↑
このストーリーを読むと、表紙デザイナーを囲んで編集長とスタッフ一同が、あ~でもない、こ~でもない、と知恵を絞る様子が良く伝わってきます。
でもきっと、大変な作業というよりは、編集部にとって一番楽しい時間なんじゃないかな。今週は特に面白かったんじゃないでしょうか。その理由はこちら↓↓↓

 

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今回はこの表紙デザインの編集部ウラ話!

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(和訳)
今週の表紙は、米国の株式市場と実体経済の間にある危険な溝に注目しています。米国の株価は現在、8月時点より高く、景気回復がそう遠くないと示唆しているようです。でも、このような見方には数え切れないほどの危険が潜んでいます。ウォールストリートのバラ色の情景は、メインストリートの現実とはかけ離れています。

表紙デザイナーの目に留まったのは「gap(溝)」という言葉でした。そしてウォールストリートとメインストリートを隔てる溝に自分が飲み込まれるようにも感じました。この2つのスケッチは、深い溝を矢印や線で縁取り、ウォールストリートの繁栄とメインストリートの衰退、あるいは、株価指数の上昇とGDPの低迷に見立てています。

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そして3枚目のスケッチでは、裂け目が地図の上に描かれました。

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地図を使ったのは、さらに諷刺を効かせるためです。数年前にスコットランドの独立問題が起こったとき、この手法を表紙に使いましたスコットランドの一部の読者から猛反発を食らいました)。最近では英国のEU脱退の際にも使っています(そしてBrexit賛成派の読者から猛反発を食らいました)

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最初の2つの案のうち、編集部は裂け目のラインがまっすぐな方でいくことに決め、アーティストにさらに案を練ってもらいました。そこで出てきたのが下のイラストです。ニューヨーク証券取引所には日が当たる一方で、メインストリートに並ぶ店先は影に沈んでいます。ここで、縁取りの赤い線は全く効果的でないと気づきました。でも、イラストのイメージそのものはいい方向へ進んでいました。

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優秀なカバーアーティストは夜を徹して、今度は地図を使ったイラストに取り組み、私たちも地図の通りに名前を付け始めました。水曜日の朝までに、下のイラストが出来上がりました。

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建物でいくか、地図でいくか。どちらのアイデアも気に入っていましたが、地図を選ぶことにしました。通りの名前が面白味を増すだろうと思ったのです。影は薄くつけてもらい、建物の案からは、裂け目の破片が深い淵に落ちていくアイデアを取り入れました。そして、残りの通りにも名前を付けていきました。

 

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当然、編集部の内輪ネタも盛り込みました。右側の「The Strand-ed」は、The Economistのロンドンオフィス近くにあるメインストリートが、今は閑散としている様子(stranded)を表しています。「Reeling Broadway(よろめくブロードウェイ)」は、副編集長が住んでいるEaling Broadway大通りのことです。左側には、英国の住所のような「EB1 7DA」がありますが、これはEBITDA(償却前営業利益)のこと。欧州中央銀行の理事を務めるエコノミスト、Philip Lane氏の名前も使ってみました。そして、日当たりの良いところにある「Rainbow End(虹の先端)」にあるのは?もちろん「Golden Pond(黄金の池)」です。

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私はこのウラ話を読むまで、通りの名前のパロディに全く気付いていませんでした。編集長が「内輪ネタ」で紹介した以外にも、あるわあるわ。例えば、
活況のウォールストリート(左)側では
Pie-in-the-sky (絵に描いた餅)Lane、Fantasy(幻想) Walk、Easy(楽観)Street、Excess Profit (超過利潤)Drive。。。
不況のメインストリート(右)側では
Penniless(一文無し) Lane、Fore Close(=foreclosure 差し押さえ)、Miserab Alley(=miserably 悲惨な)、Downhill(下降)Drive。。。
といった具合。
さらに、文中下線で示したスコットランド独立派、Brexit賛成派からの猛反発は、それぞれ地図中で
Edinburghエディンバラ)をEdinborrow(=borrow 借入)、 Aberdeen(アバディーン)をAberdown、はたまたロンドンをChaosと言い換えちゃってるからなんです(これだけじゃなくて、地図中の表記全部がパロディです!探してみて~)

そしてオチの一文。
a pot of gold at the end of the rainbow は慣用句で、「夢のような幸運、思いがけない大金」という意味があるんだそうです!!

いや今回も、やられました。さすがThe Economist

それではまた。

 

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