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Weekly edition:表紙づくりのウラ話(2020年10月30日号)

The Economistの定期購読者限定で、毎週初めに、最新号の表紙デザインをどう決めたか?という編集部ウラ話がメールで送られてきます。このストーリーを読むと、その週のThe Economistの主張が見事に表紙デザインに反映されていることがわかります。毎週、読みごたえのある大量の記事を発信するだけでなく、主張を端的に反映した表紙イラストも見どころのThe Economistですが、今週号の表紙も秀逸です。星条旗の破れに注目してください。。。

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今週はこの表紙デザインの編集部ウラ話!

今週はエコノミスト誌の表紙デザイナーにとって重要な1週間でした。今週号は、米国の次期大統領としてなぜジョー・バイデンに一票を投じるべきなのかを論じています。そのために大きな議論をとりまとめ、論点を明確にし、多数の読者の印象に残るメッセージを投げかける必要がありました。

 

どの選挙も重要ですが、今回の米国大統領選挙はとりわけ重要です。アメリカの民主主義の本質が問われる選挙だからです。一つの選択は、米国大統領という職責を果たせていない人物が牛耳る対立的で個人的な支配につながり、もう一方の選択は、それよりベターな道、つまり、アメリカを世界にインスピレーションを与える国たらしめたと本誌が考える価値により近い統治へとつながります。

 

それをどう伝えるか?まずは初期のアイデアをご紹介します。

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アメリカの国旗を模した瀑布は、このような重要な選挙にふさわしいドラマチックな印象を与えます。でも、比喩としては間違っていました。断崖絶壁に達した水が奈落の底へ落ちていくのは不可避です。重力の法則は変えられません。でも選挙とは選択であり、進む方向は変えられるのです。

 

MAGA(メイク・アメリカ・グレート・アゲイン:アメリカを再び偉大な国に)というトランプ氏の空しい誇張されたレトリックをバイデンのスローガンにすり変えた構図は、トランプ氏により直接的に対峙するものです。

 

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上は別のアイデアです。

左は2016年に本誌がニューヨークで掲げた広告版です。あれから4年経った今、この広告板を復活させる価値があるのではないかと考えました。右はその最初のドラフトです。

 

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そして上がまた別のアイデアです。

バイデンを推すのではなく反トランプになっているタイトル文字は無視してください。この構図が気に入ったのは、候補者そのものよりもアメリカという概念に焦点を当てていることでした。今回の選挙が問うているのはまさにそのことだからです。細部に目を向けると、破れた国旗の縁がさりげなくトランプ氏の横顔を模しているのがわかるでしょう。

 

これらのスケッチをもとに、デザイナーは3つの最終案を練ることになりました。

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最初よりずっと良いものが出てきました。MAGAのスローガンは共和党の赤ではなく民主党の青を背景としてインパクトが強まりました。星条旗も効果的です。そして、バイデン氏を推す意図はごく控えめに表現されています。本誌がバイデン氏支持であることは明らかであり、声高に叫ぶ必要がないことがうまく反映された、バランスのよい表紙になっています。

 

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こちらも同様です。背景を黒にしたことで抑制が効いています。今日のような過熱した政治情勢の中では、落ち着きは自信を示します。写真を活用し「ald rump」を背景に組み込むことで、トランプ氏を幽霊のように漂わせながら、本誌の支持する人物にフォーカスを当てています。

 

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しかし、本当に私たちの心をつかんだのはこの案でした。それはおそらく、この表紙に主張があるからでしょう。本誌のバイデン支持は、彼自身のように、明確で率直です。星条旗はまだ空高く掲げられていますが、縁から破れ始めています。そして、その破れた縁から浮かび上がるトランプ氏の横顔は、国への怒りをあらわにしています。

 

あとは仕上げを残すのみとなりました。いつもの右上の見出しはなくしました。今週のテーマは一つだけですから。そして星条旗ホワイトハウスに掲げ、大統領職そのものの象徴としました。

 

今週のリーダー記事は、本誌の主張を網羅するのに1ページ半を必要としました。でもこの素晴らしい表紙は、一目見ただけですべてを物語ります。

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いかがでしたか?星条旗の縁の破れに、怒り狂うトランプ大統領の横顔が浮かび上がったでしょうか。。。?

 

次回もぜひお楽しみに。

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