#The Economistをサクッと読む

英エコノミスト(The Economist)の最新記事を日本語で紹介しつつ、日々の気づきを徒然につづります

パンデミックが浮き彫りにしたアマゾン(2020年6月20日)

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今回は、2020年6月20日号のLeaders記事です↓

 

The genius of Amazon
The pandemic has shown that Amazon is essential—but vulnerable

 

新型コロナウイルスパンデミックで、世界中の多くの人々にとってアマゾンはますますなくてはならないサービスになりました。でもそんな破竹の勢いのアマゾンでさえ、内外に憂慮すべき問題を抱えています。イラストでは不敵の笑み(アマゾン・スマイル!)を浮かべているかのようなジェフ・ベゾスですが、アマゾンの動向はこれからも気になるところです。

 

Twenty-five years on, Mr Bezos’s vision of a world that shops, watches and reads online is coming true faster than ever. But the job of running Amazon has become no easier, even if it no longer involves packing boxes.

アマゾン創業から25年経った今、ベゾスのビジョンである「オンラインで買い物をしたり、見たり、読んだりする世界」はますます急速に拡大しつつある。しかし、もはや箱詰めが仕事ではなくなった今、アマゾンの経営は簡単ではない。

 

この記事の和訳全文をNoteで公開しています☆

 

 

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Black Lives Matter(2020年6月13日)

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今回は、2020年6月13日号のLeaders記事です↓

 

Race and social change
The power of protest and the legacy of George Floyd

 

黒人のジョージ・フロイドさんが白人の警察官に暴行されて死亡してから1ヶ月が経ちました。BLM(Black Lives Matter)の抗議活動は当初の暴動に近いものから、人種の平等を真剣に考えようという世界的な活動に変わりつつあります。The Economistも今回こそ、この根深い問題について「Power of protest」を示す好機だと捉えています。

 

When enough citizens march against an injustice, they can prevail. That is the power of protest. 

正義のために人々が一斉に立ち上がるとき、その活動は勝利を収める。それこそ抗議が持つ力である。

 

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経済政策の限界を探る日本(2020年6月6日)

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今回は、2020年6月6日号のFinance & economicsセクションからの記事です↓

Free exchange
Japan probes the limits of economic policy
Including loan guarantees, fiscal support this year will amount to 40% of GDP

 

経済政策の限界を探る日本
融資保証を含めると、今年度の財政支援はGDPの4割に達する

 

ところで、実は上のタイトルは、The Economistの目次では別の表現で紹介されています(青い囲み部分)↓

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Land of the rising sum...明らかに、Land of the rising sun(日出ずる国、つまり日本)をもじっています。

 

記事に添えられたイラスト(逆さ富士からお札の噴煙が...)を考えると、説明的なタイトルよりこっちのLand of the rising sumのほうがインパクトあるのにね。。。

 

さて、コロナ禍での経済対策で赤字国債の発行がますます増える日本(=rising sum)。The Economistはこの日本式の経済対策をどう見ているでしょうか?

 

...Japan has shown the rest of the world a policymaking route that is seemingly sustainable. That does not mean it is worth following.

 

この結論の理由が気になる方は、この記事の和訳全文をNoteで公開していますので、チェックしてみてください☆

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働き方の大転換:新たな紀元の始まりか?

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2週間ほど前、コロナ後にオフィスデザインは変わるのか?という記事を共有しましたが、今回はオフィスの必要性を含めた働き方そのものの変化の可能性を論じた記事です。

 

(原題)

Working life has entered a new era
Farewell BC (before coronavirus). Welcome AD (after domestication)

 

(和訳)

新たな働き方の時代に突入:
BC(コロナ前)からAD(在宅勤務化)へ


3月16日、このコラムを担当する私は会社を出て帰路につきました。この日が、The Economist編集部スタッフ全員がロンドンのオフィスに集まった最後の日でした。この記事を書いている時点で、出社再開の目途はまだ立っていません。


私たちは、新しい働き方に驚くほど速く順応しました。今や、The Economistはソファやキッチンのテーブルで執筆、編集、制作されています。1月や2月はもう大昔のように思えます。紀元前(BC: Before Coronavirus)から新たな紀元(AD: After Domestication)に時代が移ったかのように。この大転換は、19世紀から20世紀への移行期に起こった職場の大変革に匹敵するかもしれません。Twitter社はすでに、今後すべての従業員に無期限の在宅勤務を許可すると発表し、Facebook社は10年以内にスタッフの半分が在宅勤務になると予想しています。


今般の大転換は、前世紀初頭の工業化の時よりもはるかにハイペースで進行しました。蒸気による動力の活用のためには、工場が1つの巨大な発電システムを中心に設計される必要がありました。工場の中をベルトコンベアや滑車が蛇行し、システムのどこかで障害が発生すると、工場全体が停止に追い込まれました。その後の電化の発展で、個々の機械がそれぞれ動力源を持つ工場が誕生するようになりましたが、それは1880年代に電力が導入されてから半世紀も後のことでした。


今、起こっている「新たな紀元」への急速な移行は、前提条件が整っていたからこそ可能となっています。第一に、現在のブロードバンドサービスは、文書のダウンロードやビデオ会議にも十分対応できる速度があります。第二に、先進国の経済は製造業ではなくサービス業が中心となっています。1970年代、英国が週3日制を採用したとき(これは鉱山労働者のストライキに対抗するためでした)は、停電が発生し、テレビ局も放送時間を切り上げざるを得ませんでした。つまり、市民生活にも大きな影響があったのです。今回のパンデミックでは、そうした混乱は起きていません。


それだけではなく、リモートワークが当たり前に受け入れられるようになりました。以前は、家で仕事をする従業員にはサボっているのではないかという疑いの目が向けられました。今では、出社の必要性を主張する人たちは鼻持ちならないと思われています。

 

もちろん、失われたこともあります。ビデオ会議は対面での会議のような即興性から生まれるテンポの良さに欠けています。ソーシャルディスタンスは仲間意識の醸成にはマイナスです。創造性も生まれにくいかもしれません。トレーニング会社のMind Gymのオクタビウス・ブラック氏によると、新しいアイデアは人々のネットワークが緩くつながっているところから生まれます。このような「何気ない出会い」が今では稀になっています。


オフィスがなくなるわけではないにしても、働き方がBC時代に戻るとは思えません。一世紀以上もの間、働く人々は週に5日、通勤のために満員電車やバス、あるいは交通渋滞を我慢してきましたが、この2ヶ月間は通勤から解放されて清々しています。
会社側にも利点があります。これまでは従業員を一か所に集める必要があったため、都市の中心部に高額なオフィススペースを構えてきました。賃料だけではありません。清掃費、光熱費、オフィス機器、ケータリング、セキュリティなどのコストもかかります。在宅勤務なら従業員が光熱費や食費を負担します。

 

多くの企業と従業員が、コロナ禍で発想の転換を経験したと思われます。オフィスありきの考えは古いものになりました。そう考えると、人々が集うオフィスは不可欠だという考えが復活することはないのかもしれません。

 

AD時代のもう一つの側面は、週5日勤務の消滅かもしれません。パンデミックの前に、すでに多くの労働者は週末に電話をかけたり、メールに返信することに慣れていました。AD時代は、プライベートと仕事を分けたり、ストレス解消に有効な方法を見いだしたりするのはもっと難しくなるでしょう。週5日制が完全になくなり、月曜から金曜までの通勤がなくなれば、週末の概念はますます漠然としたものになり、同様に9時から5時までの勤務時間もあいまいなものになるでしょう。将来は、好きな時に仕事をし、好きな時に休憩を取るようになり、時間的拘束はビデオ会議だけになる可能性があります。その反面、生活のリズムが乱れるので、新しいルーチンが必要になりそうです。英国のポップグループMadnessの「Baggy Trousers(バギーパンツ)」で歌われているように、人々は「ありきたりな日々に変化をもたらす違うやり方」を試すことになりそうです。


さらに先を見れば、AD時代は別の変化ももたらすかもしれません。通勤の必要がなくなるので、住居費が安い小さな町に引っ越す人が出てくるでしょう。会社という逃げ場がなくなった男性にとっても、掃除や育児をサボるための言い訳が減るでしょう。でもこの状況は、実は「リターン・トゥ・ノーマル」だとも言えます:19世紀までは、ほとんどの人が家かその近くで働いていたのですから。それでも社会史の研究者は、2020年を新しい時代の幕開けとみなすことでしょう。

 

***

(所感)

この記事のキモは、なんといっても省略語のうまい読み替えです。BC(紀元前:Before Christ)とAD(紀元後:Anno Domini)をそれぞれ、BC:Before Coronavirus、AD:After Domesticationにすり替えています。

 

ChristをCoronavirusにしたのは、日本人でもきっと誰もがはは~ん、と納得できますが、Domesticationって?

 

英和辞典を引くと「家畜化」という訳語が出てきますが、英英辞典で調べると the process of making someone fond of and good at home life and the tasks that it involvesという解釈もあることがわかります。まさにテレワークのこと!会社でやるのが当たり前だった仕事の多くは、実は家でもできることに気づいた現代人にとって、今回のコロナ禍は働き方の新紀元をもたらしました。

 

それではまた!

 

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マスク着用を義務化せよ(2020年5月30日)

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今週号のLeaders(看板記事)4本の中から、今回は軽めのタイトルを選びました↓

 

Face it
The case for mandatory masks
In places where covid-19 is still rife, governments should require people to wear face coverings in crowded public spaces

 

混雑した公共の場所でのマスク着用を義務化すべきだ

 

見出しのFace itが洒落ていますね。Faceを動詞で使うと"to accept that something unpleasant is true and start to deal with the situation"、つまり嫌だけど本当のことを受け入れてちゃんと向き合う、っていう意味ですが、それとFace mask、マスクをひっかけています。

 

以下は、記事の抜粋。

The fact that the market for chic masks is well-developed in Paris is hardly surprising, but the explanation does not lie only in the exquisite taste of its citizens. Since May 11th Parisians have been required to wear masks on public transport or face a penalty of €135 ($150), so it is rare to see anybody on the Métro without one. On London’s Tube, by contrast, where the government merely advises people to wear one, only around a third of people are doing so.

 

パリではお洒落なマスクがファッションアイテムの一つになりつつあるけれど、マスクが人々に浸透してきた理由はそれだけじゃなくて、地下鉄に乗るときマスクを着用していないと罰金だから。ロンドンの地下鉄ではマスク着用が奨励されているだけなので、乗客のマスク着用率は3分の1程度。

 

こんなくだりを読むと「新しい生活様式」の「呼びかけ」だけで、今、街を歩く老若男女のほぼ100%がマスクを着用している日本ってすごいなと思います。同調圧力が強い日本社会の負の面がよく叩かれるけれど、このご時世ではそれが全体としてプラスに働く。物事には両面があることに改めて気づかされます。

 

この記事の和訳全文をNoteで公開していますので、興味があればご覧ください☆

 

 

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