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ニューノーマル時代の管理職に必要なスキルとは?(2021年1月16日)

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今週はビジネスセクションのコラムをお届けします!

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(原題)

Bartleby
The lockdown has caused changes of routine

 

ロックダウンで変化した仕事の日常:オフィスは刑務所ではなく、避難所になる

 

物事が習慣になるには時間がかかることがあります。しかし、いったん習慣になれば、それは定着します。2020年3月に最初のロックダウンとともに在宅勤務が始まったとき、おそらく多くの人々は、せいぜい1ヶ月くらいのことだと思ったに違いありません。もしそうだったなら、昔と同じ仕事の日常がすぐに戻ったことでしょう。

 

多くの社員がオフィスに戻るようになって10ヶ月が経とうとしています。新しい習慣が根付いてきており、昔に戻るのはもうかなり難しいでしょう。新しい習慣の中にはよくないものもありますが、それは労働者だけでなく管理者にも原因があるのかもしれません。

 

オフィスソフトメーカーのAsanaは、8カ国にまたがる13,000人以上のナレッジワーカー(主にパソコンを使って仕事をしている人と定義)を対象に調査を実施しました。それによると、2020年には平均で、従業員が1年に455時間、つまり1日2時間程度、契約時間を超えて働いていました。この残業時間は2019年と比較してほぼ2倍でした。そして、この残業時間の多くは必要のないものでした。調査に回答した人々は、会議やビデオ会議、メッセージへの返信に費やした時間が多かったことに不満を感じていました。

 

おそらく、このような強制的なコミュニケーションは、マネージャーたちの不安の表れなのでしょう。リモートワーカーが怠けるのを恐れて、管理職たちは幼児をプールに連れて行った不安な親のように部下を監視してきました。

 

あるいは、管理職は忙しさを装うべく、以前より多くの会議を招集しているのかもしれません。回し車のハムスターのように、自ら不毛な仕事の繰り返しに陥っているのです。ビデオ会議からビデオ会議へと渡り歩く管理職の多くは「Zoom疲労」を訴え、部下たちは上司の前の会議が終わるまで待たされています。

 

しかし、明るい兆しはあります。不要な会議をなくせば、生産性は向上するはずです。新しい年が明けて、管理職たちは「この会議は本当に必要なのか?」を常に自問するようになるでしょう。本稿を執筆している私は、会議時間の80%、そして会議参加者の80%は無駄だと思っています。そして私のこの仮説を裏付ける証拠は、ロックダウン中にたくさん出てきています。

 

調査によると、エグゼクティブは週に23時間を会議に費やしています。その時間を半分にしたら、いかに多くのことが達成できるでしょうか?そしてこのことは、キッチンのテーブルで仕事をしている人々がオフィスに戻っても言えるでしょう。パンデミックは、不毛な会議の存在を知らしめたのです。

 

パンデミックの間に培われた最高の習慣は、柔軟な対応です。*毎日の通勤や決まった時間内での労働という固定観念は崩れました。それに伴って「プレゼンティズム」の呪縛、つまり仕事は常に目の届くところでなされなければならないという考えも消え去りました。上司の目が光るところにいなくても、人々は嬉々として仕事に取り組むことが示されています。

 

調査会社ガートナーが人事部長を対象に行った調査では、回答者の65%がワクチン接種の普及後も従業員の勤務形態に柔軟性を持たせる計画であることがわかりました。また回答者らは、労働者の約半数が少なくとも部分的にオフィスに戻りたがっていると予測しています。

 

このような柔軟性を許すことは完璧に理にかなっています。ロックダウンが終われば、多くの労働者は家を飛び出して同僚に直に会いたいと考えるでしょう。そして、家庭の都合に合わせてある日は午前10時に出社し、次の日は午前8時30分に出社するといった調整ができるのであればますます嬉しい気分になるでしょう。また、金曜日を在宅勤務とすることに、パンデミック前のように罪悪感を持つことはなくなるでしょう。オフィスは刑務所ではなく、避難所になる**のです。

 

雇用側もまた、新たな柔軟性の恩恵を受けることになります。職場管理を専門とし、TransparentBusinessを運営するシルビナ・モスキーニ氏は、企業は事業運営の拡大方法を変え、正社員よりもはるかに多くのフリーランサー、請負業者、取引企業を活用するようになると言います。

 

リモートワーカーやフリーランサーの活用に取り組むには、マネージャーの側が新しい習慣を身につける必要があります。モスキーニ氏は、チームメンバーの多様な労働条件を理解する「共感的リーダーシップ」を開発することがそのカギになる***とみています。このリーダーシップスタイルには、例えばちょっとした贈り物をするといったことが含まれます。モスキーニ氏はロックダウンの開始時に、部下たちにスリッパをプレゼントしました。受け取った部下たちはきっと(物理的だけでなく精神的にも)気持ちよく自宅で仕事ができたことでしょう。

 

部下と連絡を取るときも、厳密なスケジュール管理をしようとするのではなく、成人した子どもたちが年老いた親にことあるごとに連絡するような感覚で行うべきです。フレンドリーで堅苦しくない連絡を取ることは、これからの時代の管理職が磨かなければならない新しいスキルです。

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いかがでしたか?

私も、コロナ禍で最大の不幸中の幸いは、サラリーマンの柔軟な働き方が認められるようになったことだと思います。

*The best habit developed during the pandemic has been flexibility.

 

働く人の自主性を認めてあげれば、オフィスは確かに「刑務所でなく避難所になり得る」、つまりインスピレーションを求めて自主的に出向く先になりますよね!

**The office can be a refuge, not a prison.

 

そして自主性の時代のリーダーシップとは共感力です。自分の事情を分かってくれる人に、人は心を開きますよね。

***The key will be to develop “empathic leadership” that understands the varied working conditions of team members.

 

では次の記事も、どうぞお楽しみに。

 

 

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